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平成17年、それまで「商法」という法律の一部だった会社に係る部分が独立して、新しく「会社法」となり、翌18年に施行されました。その際に株式会社と有限会社の区別をなくし、新たに合同会社という形態を新設し、旧来の会社とは大きく異なり組織設計の自由度が高まりました。またその分、責任が重くなったとも言えます。
この改正によって会社の設立に関しては大まかに、下記の点で改正がありました。

  1. 資本金の最低限度の撤廃 ・・・ 資本金最低限度は、原則として撤廃されました
  2. 取締役1名で設立可能 ・・・ 取締役会や監査役を不要とすることが可能となりました
  3. 商号選択の自由度増加 ・・・ 同一市町村内で同一または類似商号でも使用可能になりました
  4. 株券の原則不発行 ・・・ 株券の発行は、不発行が原則となりました

このほかにも、払込保管証明が原則不要になったり、会計参与という仕組みが導入されたりと、設立の際の変更点は多々あります。また設立後の運営に関する点も、従来とは大きく異なり自由度が高まったと言えるでしょう。

会社(法人)を設立する際には、その目的に照らして最適な形態を選択する必要があります。会社としては下記の四種類が新たな形態ですが、それぞれ特徴をみてみましょう。

1.株式会社
2.合同会社
3.合名会社
4.合資会社

またどのように設立するかについてはこちら

設立手順

 

株式会社

現在の株式会社は、従来の株式会社と有限会社を統合し、資本金の規制を撤廃してかなり自由に機関設計ができるようになりました。可能な機関の形態は下記の通り

  1. 取締役のみ
  2. 取締役 + 監査役
  3. 取締役 + 会計参与
  4. 取締役 + 監査役 + 会計参与
  5. 取締役会 + 監査役
  6. 取締役会 + 会計参与
  7. 取締役会 + 監査役 + 会計参与

と、随分沢山あります。一見複雑なようですが、取締役単独か複数か(取締役会)、監査役をつけるか会計参与をつけるか、両方つけるか、というだけのことです(大企業むけの監査役会や会計監査人、委員会等は除いています)。

上記の形態のうち、株式に一部でも譲渡制限を設けない株式会社は公開会社と呼ばれ、5~7の「取締役会」を設置しなければならないため注意が必要です。そして単純に言って、1番などは旧来の有限会社のような小規模な事業形態向けで、規模と信用が膨らむにつれて番号があがってゆく、と考えると分かりやすいでしょう。7番までゆくと、信用力は最大限になると考えられます。

会社の形態としては最もベーシックで、資本金の制限もなくなったため設立も容易になりました。その反面、株式会社だからと言って信用してもらえるとは限らない、ということになります。旧来の有限会社のイメージと重なる部分が出てきた、といってよいでしょう。他の形態と比べてのデメリットはやはり役員の任期があること、決算公告が必要なこと、また運営上の規則が多く自由度が低いこと、などがあるでしょう。

 

合同会社

最近よく耳にする「LLP」と「LLC」。合同会社はこの「LLC(Limited Liability Company)」にあたります。株式会社と異なり、合名会社、合資会社とともにこの三つの形態を「持分会社」と呼び区別されます。この形態は上述の通り、平成18年の会社法施行に伴って導入された新しい会社の形態で、その特徴は以下のようになります。

  • 全構成員が有限責任
  • 設立や運営が株式会社より簡易
  • 法人格がある

1.構成員全員が有限責任

これは、株式会社と同じで限定された範囲(通常は出資の範囲)で責任を負うという意味です。つまり、万が一設立したLLCが破たんしてしまっても、出資額以上の責任を負わなくてすみますので、全財産を失うといった可能性を回避できます。個人事業主や合名・合資会社では認められていない大きなメリットの一つです。また有限責任であるにも関わらず利益分配の設計が自由ですので、株式会社のように出資比率に応じて分配する必要はなく、貢献度に応じた利益の配分が可能になります。

2.設立や運営が株式会社より簡易

株式会社の場合、電子定款を利用しても20万2千円の税金等の費用がかかりますが、LLCの場合は6万円ですみます。また監視機関の設置も義務付けられていませんので、迅速な意思決定が可能です。また役員の任期に制限がありませんので、わずらわしい役員変更の手続きなどが不要になります。

3.法人格がある

法人格とは、法人を自然人のように権利義務の主体とすることを意味します。つまり、法人の名前で権利を得、義務を負うことが可能になります。また将来、事業規模が大きくなったり資金が必要になったりした場合に、株式会社へ組織変更することも可能です。

このように、たくさんのメリットのあるLLCですが、やはり知名度や信用度という点がデメリットとして残ります。従って最初から信用度を求める場合には、株式会社を選択されるほうがよいでしょうが、ベンチャーとして出資者に公平に利益配分をすることによってモチベーションを高めたり、定款によって自由に会社を設計したい場合にはとてもよい制度です。

LLCとLLPの違い

LLPとは(Limited Liability Partnership)の略で、翻訳すると有限責任事業組合と言い、法人格がありません。従ってLLPの外部との契約は、構成員各個人が行い効果は全員に波及します。課税もLLP本体に課税されることなく各個人に課されるため、法人と個人での二重課税を回避できます。またLLCはひとりでも設立できるのに対し、LLPは二人以上での組合契約が必要です。最大の違いが、法人格がないため事業の拡大を図る際、株式会社へ移行できないデメリットがある、という点でしょう。そういう点で、LLPは特定目的の共同事業を行うような場合に、有力な手段だと言えそうです。

 

合名会社

 

合名会社、合資会社は旧来からある会社法人の形態ですが、株式会社やLLCとの大きな違いはその責任範囲の無限性の有無にあります。とくにこの合名会社という形態では、無限責任社員のみで構成される企業形態ですので、経営陣が直接リスクを負うことになります。旧来のメリットとしては、資本金の制限がないことなどが挙げられていましたが、現在では他の会社形態でも制限がほぼなくなりましたので、比較してのメリットはあまりないと言っていいでしょう。そのほかのメリットとしては、設立と運営の容易さにあります。小規模、個人商店的なあり方に向いた形態といえるでしょう。

 

合資会社

合名会社との違いは、有限責任社員と無限責任社員の両方が必要、ということが挙げられます。従って最低限2名以上の社員が必要になります。そのほかのメリット・デメリットに関してはほぼ合名会社と同じと考えてよいでしょう。やはり小規模、個人商店向けといえます。

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会社設立手順

ここでは、最も一般的な株式会社の設立手順について、概要を解説いたします。

  1. まずはじめに、類似商号のチェックをします
  2. 各種の印鑑を作成します
  3. 会社目的など重要な柱になる定款を作成します
  4. 定款の認証をうけます
  5. 出資金を払い込みます
  6. 設立登記を行います
  7. 税務署等各役所に必要書類を提出します

と、かなりな手順を必要とします。設立にあたっては、十分な時間を確保されたほうがよいでしょう。順を追って説明します。

 

1.類似商号のチェック

まず、同一住所に同一商号の法人は設立できませんので、念のためチェックします。
また、「紛らわしい住所や商号」は商号差し止め請求や不当競争防止法に基づく損害賠償の請求をされる恐れがあります、こちらにも十分注意して商号を決めましょう。商号は、法務局でチェック可能です。会社法施行によりチェックの重要性は低下しましたが、念を入れておいたほうがよい事項です。

 

2.各種の印鑑の作成

ここでは、最低限度必要な印鑑3種類を作成します。
 ①会社実印
会社実印は、設立登記や役員会での議決など、会社経営の重要な局面で必要不可欠な印鑑です。
 ②個人実印
会社設立手続きの中でも最重要といえる定款作成と認証の手続きの際、必要となります。実印ですので、市役所での印鑑登録が必要です。定款認証の際、印鑑証明が必要となります。
 ③会社銀行印
当然ですが会社口座の管理に必要です。稀に、会社実印を使用している方がいらっしゃいますが、たいへん危険ですのでお薦め致しません。印鑑証明や陰影を偽造されてしまうと、簡単にお金を引き出すことが可能になります。防げるリスクは未然に防いでおくほうがよいでしょう。

その他によく使用するものとしてゴム印などがあります、これも必要ならそろえておくと便利でしょう。また個人銀行印も、銀行預金等の安全性のために保持しておくこともあります。

3.定款の作成

株式会社の定款では、目的や商号など、会社の骨格を現す基本的な事項を規定します。その記載事項には、以下の三種類の法律上の区別があります。
①絶対的記載事項
②相対的記載事項
③任意的記載事項

①絶対的記載事項
法律上、これを記載していないと定款全体が無効になる事項です。
1.目的
2.商号
3.本店の所在地
4.設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
5.発起人の氏名又は名称及び住所
6.発行可能株式総数

それぞれに細かい注意がありますが、ここでは割愛します。

①相対的記載事項
相対的記載事項とは、定款に記載しなくとも定款自体の効力は有効であるが、定款に定めがないと、その事項の効力が認められないものを言います。たくさんありすぎてここには書ききれませんが、たとえば現物出資をする場合、取締役会や監査役、会計参与などを設ける場合などには定款に記載します。

①任意的記載事項
任意的記載事項とは、上記二つの記載事項以外の記載事項のことを言い、公序良俗に反しない限りいかなる内容でも定めることが可能です。事業年度や定時株主総会に関することなど、定款外で定めてもかまいませんが、定款に記載することによってより明確にすることができます。

 

4.定款の認証

定款の認証には、二通りの方法があります。通常の紙による定款認証と、電子定款による認証です。電子定款の場合、印紙代40,000円が節約可能ですが、個人が行おうとするとかなりの時間とお金をかけることになります。PDF作成ソフトやICカードリーダを購入したり、住民基本台帳カードの取得などが必要となるためです。一回限りの申請の40,000円を節約するためにこれだけのコストと時間をかけるのは、割に合いません。電子定款のみをご希望される場合は、当事務所までご相談ください。お問い合わせはこちらまで → お問い合わせ
ですので、ここでは紙の定款認証について説明致します。下記書類を持参します。

1.定款3部 1部は公証役場で保管、1部は法務局へ提出、1部は会社保管
2.発起人全員の印鑑証明書各1通
3.定款認証費 50,000円
4.印紙代 40,000円(電子定款なら不要)
5.謄本交付手数料 250円/通

これらを持参して、公証人に認証をお願いし、認証されれば終了です。

 

5.出資金の払い込み

出資金額を口座に振り込んだら、「残高証明書」を銀行から発行してもらいます。500円~1,000円程度で発行してもらえます。また通帳のコピーもしておきます。これが出資払込金を証明する書類となります。

 

6.設立登記

設立登記の際には、登録免許税150,000円のほかに、下記の書類を持参して審査手続きします。
1.会社設立登記申請書
2.設立時取締役、設立時監査役選任及び本店所在場所決議書
3.設立時代表取締役を選任したことを証する書面
4.設立時取締役、設立時監査役及び設立時代表取締役の就任承諾書
5.定款
6.印鑑証明
7.印鑑届書(法人実印を捺印したもの)
8.設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書及びその付属書類
9.資本金の払い込みがあったことを証する書類
10.資本金額の計上に関する設立時代表取締役の証明書

とかなりな数の書類を整えて、また正確に記述して提出しなければなりません。記載方法などをあらかじめ法務局で確認し、事前に書類をそろえて確認を取っておくとスムーズに進むでしょう。

7.税務署等各役所への書類提出

法務局から指定された期日に訪問し、補正がなければ完了です。その場合の設立日は、登記申請日となります。ここまで来たらあと一息、以下の届け出の義務があります。
1.税務署に提出する書類
・会社設立届け出書
・給与支払事務所等の開設届出書
・青色申告の承認申請書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(可能な場合/10人未満)
・棚卸資産の評価方法の届出書
それぞれ設立後1カ月または2カ月程度以内に提出しなければなりません。
添付書類は
・定款の写し
・登記簿謄本
・株主等の名簿
・設立時の貸借対照表
・本店所在地の略図
・法人設立時の事業概況書
が必要となります。

2.都道府県税事務所に提出する書類
法人設立届出書を定款及び登記簿謄本の写しとともに提出します。期限は、都道府県により異なります。

3.市町村役場に提出する書類
法人設立届出書を定款及び登記簿謄本の写しとともに提出します。期限は、都道府県により異なります。

4.社会保険事務所に提出する書類
会社が事業を開始してから5日以内に、「新規適用届」「新規適用事業所現況書(その2)」を、以下の添付書類とともに提出します。
1.登記簿謄本
2.保険料口座振替依頼書
3.事務所の賃貸借契約書
また、次の「出勤簿、労働者名簿、賃金台帳、源泉所得税の領収書、銀行通帳の写し」を提示する必要があります。

5.労働基準監督署に提出する書類
従業員を雇った場合には、保険関係成立届などの労働者災害保険の書類及び時間外労働および休日労動に関する協定書(いわゆる36協定)の提出が必要です。また10人以上の従業員を雇った場合には、就業規則届を、就業規則及び労働者の意見書とともに提出しなければなりません。

6.公共職業安定所に提出する書類
公共職業安定所にも、従業員を雇った場合には以下のような書類を提出する必要があります。
1.適用事業所設置届
2.雇用保険被保険者資格取得届
3.保険関係成立届
また、以下の添付書類が必要です。
1.雇用従業員が以前雇用保険の被保険者であったときは被保険者証
2.会社の登記簿謄本
3.従業員名簿
4.賃金台帳
5.出勤簿(タイムカードでも可)
6.労働保険関係成立届の控え(労働基準監督署の受付印あるもの)

このように、会社設立について概観してきましたが、まだまだ記載しきれない細かい注意点がたくさんあります。迷った時、困ったときにはどうぞ安心して専門家にご相談ください。お問い合わせはこちらまで → お問い合わせ

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